宇宙船の速度について

とあるBBSにて、「宇宙戦艦ヤマトとエンタープライズはどちらが速いのでしょうか?」という質問がありました。
それに対する回答。少々修正しました。

こんにちは。こんなこともあろうかと(笑)日々宇宙船について研究しているあおきであります。というのは真っ赤なスカーフ... ぢゃなかった嘘で(をゐ)、ここいらの知識は実のところ大昔に仕入れたものなのでツッコミ歓迎いたしますm(__)m

整理しましょう。相対性理論以前には宇宙船は平気で超光速で飛ぶことが出来たのですが、迷惑なことに光速度不変という現象が観測されローレンツ変換なる仮説ができさらにそれをアインシュタインが理論化してしまったため、宇宙船の速度も光速度の制限を受けます。というか、普通の発想だと距離があって時間があって速度があるのですが、アインシュタインはこれは間違いであって光速度があって距離と時間があると主張したのです(... わかるぅ?)。しかしこれではどんなにがんばっても一番近い恒星まで4.3年かかってしまいます。これじゃ恒星間をまたにかけたドラマにならない!

そこで。超光速を実現した宇宙船ではなんらかの超相対論的駆動装置を備え、相対論の適用できる光速以下の航行手法と切り替えて運用を行ってます。エンタープライズのインパルスドライブとヤマトの補助エンジンが通常航行用駆動機関、エンタープライズのワープエンジンとヤマトの波動エンジンが超光速駆動機関に分類されます。
エンタープライズもヤマトも「ワープ航法」という超光速駆動手法を用いているのですが、原理はまったく異なります。エンタープライズのワープ機関はコクレインという天才技師の発明によるもので、ワープナセルと呼ばれる円筒状の機関で力場(しかしなんの力との説明もないんだよな)を発生させることで超光速駆動を実現しています。これに対し、ヤマトはイスカンダルと呼ばれる異星の技術を用いたもので、波動エネルギー(これまた実体はまったく不明)を圧縮・制御することにより航行空間自体を曲げてしまう、というものです。ワームホール航行に似てると言えましょうか。なお、この他の超光速航法の技術としては、E.E.スミス博士の「レンズマン」に見られる「無慣性航法」や、フレデリック・ポール「ゲイトウェイ」にあるヒーチー人の航行手法(質量をゼロにしてしまう。無慣性航法の同工異曲?)があります。これらは、ローレンツ変換って質量があるんだから面倒なんで、質量が効かないようにすれば光速のしばりを抜けられるじゃないか、という発想です。
このようにして超光速航法を実現したとして、いったい速度というのはどう定義されるのでしょうか?そもそも相対論以降の「速度」は光速からしか決まらないし、そうすると時空間のゆがみはどう処理すれば?などと疑問はつきないのですが、ここでは問題を単純化するため、一般相対論的空間のゆがみを考えず、ユークリッド的な空間を宇宙船が航行し、距離/所要時間で速度が定義できる、という直感的な手法を用いることにしましょう。って相当にヘンなんですけど...
質問にもあった「宇宙ノット」ですが、これについては山田高明「宇宙戦艦ヤマト解体新書」に詳しい研究がありました。でも残念なことに、わたしはその本を処分してしまったんですよ。どうしよう。これじゃ比較が出来ない...
でも大丈夫!ヤマト作品中で「敵艦!速力27宇宙ノット!」というセリフが出てくるとき、敵艦は明らかに通常空間にいることが見て取れます(レーダーに映ってるんだし)。ヤマト世界のワープ航法ならば、ワープしている間は超空間にいるはず。つまり、「宇宙ノット」は通常航法の単位であり、超光速ではないのです。よって、吟味の対象からはずすことにします。
スタートレック世界のワープ速度には定説がありまして、ワープn=n3×光速度、です。クラシックのエンタープライズの航行速度はワープ8、最大速度はそれ以上とも言われていますがTNGのエンタープライズDでも最大速度はワープ9.8。つまり、光速度の高々1000倍程度です。
これに対し、ヤマトは14万8千光年を第1作でも1年で往復しました。これは、光速の30万倍の速度が必要です。さらに「新たなる旅立ち」では同じ距離を1週間(だったかなぁ...)で航行しました。波動エンジンに真田さんが大改造を施した結果なんでしょうが、これを実現するにはえーとえーと... 光速の800万倍くらい?ともかく、ケタ違いに速いことがわかります。
なお、スペースシャトルの速度ですが、最大高度577kmから、最大速度はおよそ秒速7.6kmと計算されます。光速はおよそ秒速30万kmですから、エンタープライズの4000万分の一、ヤマトの3200億分の一(... 計算合ってる?)になります。


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